はじめてのギグワーカー確定申告書作成 ~手書き・e-Tax・会計ソフトのどれを選ぶ?~
はじめてのギグワーカー確定申告書作成 ~手書き・e-Tax・会計ソフトのどれを選ぶ?~
ギグワーカーとして働き始め、収入が増えてくると、「確定申告」という言葉が気になり始めるかもしれません。税金に関する知識がない状態で確定申告に臨むのは、どのように進めれば良いのか分からず、大きな不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
特に、確定申告書の作成方法にはいくつかの選択肢があり、どれを選べば良いのか迷ってしまうかもしれません。手書きで書くの? パソコンを使うの? お金がかかるの? このような疑問をお持ちの方向けに、この記事では、確定申告書の主な作成方法とその特徴、そしてご自身の状況に合った方法の選び方について、分かりやすく解説いたします。
この記事を最後までお読みいただくことで、確定申告書作成の全体像を把握し、ご自身に最適な方法を見つけるための一歩を踏み出すことができるでしょう。
確定申告書を作成する前に確認すること
確定申告書を作成する作業に入る前に、準備しておくべきことがあります。それは、1年間の収入と経費を正確に把握することです。
- 収入: 請求書や支払明細、売上データなどを基に、1月1日から12月31日までのすべての収入を計算します。
- 経費: 事業に関わる支出を記録しておき、経費として認められるものを集計します。領収書やレシート、クレジットカードの明細などを整理しておきましょう。
これらの情報が整理できていないと、どの作成方法を選んでも申告書は作れません。まずは、収入と経費の集計から始めることが大切です。「ギグワーカーのための簡単な記帳入門」などの記事も参考に、日々の記録を習慣づけると後々楽になります。
収入と経費の集計ができたら、いよいよ確定申告書の作成に取り掛かりますが、その前に、どのような方法で作成できるのかを見ていきましょう。
確定申告書の主な作成方法
確定申告書を作成する方法は、主に以下の3つがあります。
- 手書きで作成する
- 国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用する
- 市販の会計ソフトを利用する
それぞれに特徴がありますので、順番にご説明します。
方法1:手書きで作成する
最も基本的な方法です。税務署や自治体の窓口、または国税庁ホームページからダウンロードした用紙に、必要事項を直接書き込んで作成します。
- メリット:
- 特別な機器やソフトウェアは不要です。
- 確定申告の用紙や手引きを見ながら、内容をじっくり確認しながら進められます。
- デメリット:
- 計算はすべて自分で行う必要があるため、計算ミスや転記ミスが起こりやすいです。
- 税法の改正などにより様式が変わることがあり、古い様式を使ってしまうリスクがあります。
- 時間がかかる作業です。
- 青色申告特別控除(特に65万円控除)に必要な複式簿記での記帳には向きません。
- こんな人におすすめ:
- 事業収入がごくわずかで、税金計算も単純な場合。
- 初めての確定申告で、用紙を見ながら仕組みを理解したい場合。
- パソコンやインターネット環境がない、または利用が苦手な場合。
方法2:国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用する
国税庁が無料で提供しているオンラインサービスです。画面の案内に従って必要事項を入力することで、自動的に税額などが計算され、確定申告書が作成できます。
- メリット:
- 無料で利用できます。
- 画面の案内に従って入力すれば良いので、比較的簡単に作成できます。
- 税額の自動計算をしてくれるため、計算ミスを防げます。
- 作成したデータをe-Tax(電子申告)でそのまま提出できます。
- マイナポータル連携機能を使えば、一部の情報を自動入力できます(対応する情報に限る)。
- デメリット:
- インターネット環境と基本的なパソコン操作スキルが必要です。
- 操作方法に慣れるまで、多少時間がかかる場合があります。
- 会計ソフトと比較すると、入力のサポート機能などが限定的です。
- こんな人におすすめ:
- 費用をかけずに確定申告書を作成したい。
- e-Taxでの提出を考えている。
- ある程度のパソコン操作に慣れている。
- 白色申告や、青色申告でも簡易帳簿(10万円控除)で申告する場合。
方法3:市販の会計ソフトを利用する
弥生、freee、マネーフォワードなどの様々な会計ソフトが販売されています。日々の記帳から確定申告書の作成、e-Taxでの提出まで、一連の作業を効率的に行えるように設計されています。
- メリット:
- 日々の記帳から確定申告まで一貫して管理できます。
- 銀行口座やクレジットカードとの連携機能で、取引データの取り込みが自動化できます。
- 簿記の知識がなくても、案内に従って入力すれば複式簿記での記帳がしやすくなります。
- 青色申告特別控除(65万円控除)に必要な帳簿作成やe-Tax提出に対応しやすいです。
- 税制改正への対応が早いです。
- 不明点があればサポートを受けられるサービスもあります。
- クラウド型であれば、場所を選ばずに作業できます。
- デメリット:
- 基本的に利用料金がかかります(無料プランや試用期間がある場合もあります)。
- ソフトの操作を覚えるのに時間がかかる場合があります。
- こんな人におすすめ:
- 継続的に事業収入があり、今後も事業を続けていく予定。
- 青色申告特別控除(特に65万円控除)を目指したい。
- 日々の記帳作業を効率化したい。
- 多少費用がかかっても、確定申告をスムーズに進めたい。
自分に合った作成方法を選ぶためのポイント
3つの方法の特徴を踏まえ、ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。以下のポイントを参考にしてみてください。
- 収入規模と記帳状況: 収入がごくわずかで記帳もこれから始めるなら、手書きや国税庁サイトでも対応可能かもしれません。継続的な収入があり、今後青色申告を目指すなら、会計ソフトで日々の記帳から始めるのが効率的です。
- ITスキルと環境: パソコンやインターネットの利用に慣れているなら、国税庁サイトや会計ソフトが便利です。苦手な場合は、手書きも選択肢に入ります。
- かけられる費用と時間: 費用を抑えたいなら手書きや国税庁サイトが無料です。時間や手間を省きたい、効率化したい場合は、会計ソフトが有効ですが費用がかかります。
- 目指す申告方法: 青色申告で最大の控除(65万円)を受けたい場合は、複式簿記での記帳が必要です。会計ソフトは、この複式簿記での記帳をサポートする機能が充実しています。
- 不安の度合い: 税金や手続きに強い不安を感じる場合、サポート体制が充実している会計ソフトや、税務署の相談窓口を利用するのも一つの方法です。
まずはご自身の状況を整理し、それぞれの方法のメリット・デメリットを比較検討してみてください。
まとめ:自分に合った方法で、確定申告書作成に挑戦しましょう
ギグワーカーとして働き始めたばかりの頃は、税金や確定申告について分からないことだらけで不安を感じるかもしれません。しかし、確定申告書の作成方法は一つではなく、ご自身の状況や好みに合わせて選ぶことができます。
- 収入が少ない、仕組みを知りたい場合は「手書き」。
- 費用をかけず、オンラインで手軽に作成したい場合は「国税庁ホームページ等」。
- 継続的な収入があり、効率化や青色申告を目指す場合は「会計ソフト」。
まずは日々の収入と経費の記録から始め、ご自身の状況に合った作成方法を選んで、確定申告書の作成に挑戦してみましょう。
もし、どの方法が良いか判断に迷う場合や、具体的な計算方法、経費の判断などで疑問が生じた場合は、税務署の相談窓口を利用したり、税理士などの専門家への相談を検討したりすることも大切です。
この記事が、ギグワーカーの皆さまの確定申告書作成への一歩を後押しできれば幸いです。