ギグワーカーのための納税入門 ~確定申告後の税金をいつ、どこで、どうやって納める?~
確定申告が終わったら、次は「納税」です
ギグワーカーとして働き始め、初めて確定申告を無事に終えられた方もいらっしゃるかもしれません。お疲れ様でした。さて、確定申告は「税金を自分で計算して国に報告する手続き」ですが、これだけでは完了ではありません。計算した税金を「国に納める」という手続きも必要です。
この「納税」についても、初めての場合には「いつまでに、どこで、どうやって納めればいいのだろう」と不安に思われるかもしれません。この記事では、ギグワーカーの皆様が確定申告後に必要となる納税について、基本的なことから具体的な方法までを分かりやすく解説します。この記事を読んでいただくことで、納税に関する不安を解消し、スムーズに手続きを進めていただけることを目指します。
所得税の納税はいつまで?
所得税の納税には期限があります。原則として、確定申告の提出期限と同じ、毎年3月15日です。
例えば、令和5年分(1月1日~12月31日の所得)の確定申告は、令和6年の2月16日から3月15日に行われます。この場合、納税の期限も原則として令和6年3月15日となります。
もし期限までに納税ができなかった場合、延滞税がかかる可能性があります。期限を意識して、早めに準備を進めることが大切です。
納税額はどこで確認する?
納税する金額は、ご自身で作成・提出した確定申告書で確認できます。
- 確定申告書 B 第一表: 「税金の計算」の項目にある「所得税及び復興特別所得税の額」の欄に記載されている金額が、原則として納めるべき税額です。源泉徴収されている場合は、そこから源泉徴収税額を差し引いた金額になります。
確定申告書を税務署に提出した後、特に連絡がなければ、ご自身で計算した金額を期限までに納めることになります。
どのような納税方法がある?
所得税の納税方法には、いくつか種類があります。ご自身の状況や都合に合わせて、選びやすい方法を利用することができます。主な納税方法をいくつかご紹介します。
1. 振替納税(口座振替)
ご自身の銀行口座から、指定された期日(原則として4月中旬頃)に税金が自動的に引き落とされる方法です。
- メリット:
- 納税のために金融機関や税務署に行く必要がない。
- 納税手続きを忘れる心配が少ない。
- 納税期限が原則の3月15日より約1ヶ月後になるという大きなメリットがあります(令和5年分所得税の振替納税日は令和6年4月25日でした)。
- デメリット:
- 事前に税務署に依頼書を提出する手続きが必要(確定申告期限である3月15日まで)。一度手続きすれば、翌年以降は自動継続されます。
- 引き落とし日までに口座の残高を確認しておく必要があります。
- 手続き:
- 税務署や金融機関に備え付けの「預貯金振替依頼書兼納付書送付依頼書」に必要事項を記入し、税務署に提出します。e-Taxでも手続き可能です。
2. e-Taxによる電子納税
インターネットを通じて税金を納める方法です。いくつか種類があります。
- ダイレクト納付:
事前に税務署に届出等をしておけば、e-Taxの画面から、または対応した会計ソフトから、即時または期日を指定して(例えば、3月15日や4月25日など)納税できる方法です。
- メリット: 金融機関に出向く必要がない。期限を指定できる。
- デメリット: 事前の手続きが必要。
- インターネットバンキング等による納付:
金融機関のインターネットバンキングやモバイルバンキングを利用して納税する方法です。e-Taxで納付情報を作成・送信した後、金融機関のサイトへ移動して手続きします。
- メリット: 金融機関に出向く必要がない。事前の届出なしで利用できる。
- デメリット: 利用できる金融機関に限られる場合がある。
3. クレジットカード納付
「国税クレジットカードお支払サイト」を利用して、クレジットカードで納税する方法です。
- メリット:
- 自宅からインターネットで手軽に納税できる。
- カードのポイントが貯まる場合がある。
- デメリット:
- 決済手数料がかかります。納税額によって手数料が異なります。
- 利用できる金額に上限があります。
- 領収書は発行されません。
4. 金融機関や税務署の窓口での現金納付
税務署から送付された納付書、またはご自身で作成した納付書を使って、金融機関(銀行、信用金庫、郵便局など)や税務署の窓口で現金で納める方法です。
- メリット: 慣れている方には分かりやすい方法かもしれません。
- デメリット:
- 金融機関や税務署の窓口に行く必要がある。
- 窓口の営業時間内に手続きする必要がある。
- 納付書を準備する必要があります(確定申告書等作成コーナー等でも作成できます)。
5. コンビニ納付
一部の税金については、コンビニエンスストアで納税することも可能です。ただし、利用できるのは納付書にバーコードが印字されている場合や、金額が30万円以下の場合など、一定の条件があります。所得税の確定申告の納税では、この方法を利用できるケースは限定的です。
どの納税方法を選べばいい?
初めての納税で、少しでも手続きの手間を減らしたい、納付期限を少しでも遅らせたいという方には、振替納税がおすすめです。事前に依頼書の提出が必要ですが、一度手続きすれば翌年以降は自動継続され、納付忘れを防ぎ、期限も約1ヶ月後になります。
インターネットでの手続きに抵抗がない方や、ご自身の都合の良いタイミングで納付したい方には、e-Taxによる電子納税(ダイレクト納付やインターネットバンキング)やクレジットカード納付が良いでしょう。クレジットカード納付は手数料がかかる点には注意が必要です。
ご自身のライフスタイルや、利用している金融機関などを考慮して、ご自身にとって最も利用しやすい方法を選んでみてください。
納税が難しい場合は?
もし、どうしても期限までに納税することが難しい事情がある場合は、「納税の猶予」といった制度が利用できる可能性もあります。ただし、これには一定の要件があり、手続きが必要です。詳細は税務署にご相談ください。
まとめ
この記事では、ギグワーカーの皆様が確定申告後に必要となる所得税の納税について解説しました。
- 納税の期限は原則として毎年3月15日です。振替納税を利用すると約1ヶ月後になります。
- 納税額は確定申告書で確認できます。
- 納税方法は振替納税、e-Taxによる電子納税(ダイレクト納付、インターネットバンキング)、クレジットカード納付、窓口での現金納付などがあります。
- ご自身の都合に合った方法を選び、期限までに納税を済ませることが大切です。
確定申告から納税まで、一連の手続きは初めてだと難しく感じるかもしれませんが、一つずつ確認しながら進めれば必ず完了できます。もし手続きに関して不明な点があれば、国税庁のウェブサイトを確認したり、税務署に問い合わせたりすることも可能です。
納税まで完了して、初めて1年間の税務手続きが全て終了となります。この情報が、皆様の納税手続きの一助となれば幸いです。