ギグワーカーのための簡単な記帳入門 ～収入と経費を記録する方法～
ギグワーカーのための簡単な記帳入門 ～収入と経費を記録する方法～
ギグワーカーとして働き始めると、収入を得る機会が増える一方で、「税金のこと」「確定申告のこと」といった新たな疑問や不安が生まれる方も少なくないでしょう。特に「記帳」と聞くと、難しそうだと感じるかもしれません。しかし、記帳は確定申告を行い、税金を正しく計算するために非常に大切な作業です。
この記事では、税金や簿記の知識が全くない初心者の方でも理解できるよう、ギグワーカーがなぜ記帳をする必要があるのか、そして具体的にどのように収入や経費を記録していけば良いのかを、分かりやすく解説します。
なぜ記帳が必要なのでしょうか
記帳とは、日々の収入や経費の動きを記録することです。ギグワーカーの場合、これはご自身の事業に関するお金の出入りを記録する、ということです。
この記帳が必要な理由はいくつかありますが、最も重要なのは以下の2点です。
- 確定申告のため 1年間（1月1日から12月31日まで）の収入から経費を差し引いて「所得」を計算し、その所得に基づいて税金を計算するのが確定申告です。この所得を正確に計算するためには、収入と経費の記録が不可欠です。
- ご自身の事業の状況を把握するため 何にどれくらいお金を使ったのか（経費）、どれくらい収入があったのかを記録することで、ご自身の仕事の状況を客観的に把握できます。これは今後の働き方や収入アップを考える上でも役立ちます。
「所得」とは、収入そのものではなく、収入から必要経費を差し引いた金額です。税金はこの所得に対してかかります。したがって、経費をしっかりと記録しておくことは、正しい税額を計算し、場合によっては税負担を軽減することにつながります。
何をどのように記録するのでしょうか
記帳と聞くと「複式簿記」のような難しいイメージを持つかもしれませんが、所得税の確定申告において、すべてのギグワーカーが最初から複雑な方法で記帳する必要はありません。まずは、収入と経費をきちんと記録していくことから始めましょう。
記録すべき主な内容は以下の通りです。
- 日付: 取引があった日
- 内容: どのような取引だったか（例: Webライティング報酬、ガソリン代、備品購入など）
- 金額: 取引の金額（収入の場合は受け取った金額、経費の場合は支払った金額）
- 取引先: 誰から収入を得たか、あるいは誰に支払ったか（任意ですが記録しておくと便利です）
これを記録する方法はいくつかあります。ご自身のやりやすい方法を選んでみましょう。
1. 手書きの簡易帳簿
ノートや市販の簡易帳簿に直接書き込む方法です。
- メリット: 特別なツールは不要で、すぐに始められます。
- デメリット: 計算は自分で行う必要があります。後から見返したり集計したりするのが少し大変かもしれません。
「日付」「内容」「収入金額」「経費金額」といった簡単な項目だけを設けて、一行ずつ記録していくことから始められます。
2. 表計算ソフト（ExcelやGoogleスプレッドシートなど）
パソコンやスマートフォンで表計算ソフトを使う方法です。
- メリット: 合計金額の計算が自動でできます。後から並べ替えたり、項目を追加したりするのも容易です。
- デメリット: 基本的なパソコンスキルが必要です。
自分で列（日付、内容、収入、経費など）を設定し、データを入力していきます。インターネット上にはギグワーカー向けの簡易的なテンプレートも公開されていることがあります。
3. 会計ソフト
記帳に特化したソフトウェアやクラウドサービスを利用する方法です。
- メリット: 簿記の知識がなくても、案内に従って入力すれば帳簿が作成できます。確定申告書類の作成機能があるものも多く、効率化につながります。
- デメリット: 利用料がかかる場合があります。最初に使い方を覚える手間が必要です。
特に収入が多くなってきた場合や、将来的に青色申告を目指したい場合には、会計ソフトの利用を検討すると良いでしょう。多くのソフトで無料トライアルが提供されています。
収入と経費を記録する際のポイント
- 収入の記録: 仕事の報酬が振り込まれた日や、現金で受け取った日に記録します。源泉徴収されている場合は、源泉徴収額も分かるように記録しておくと、確定申告の際に役立ちます。
- 経費の記録: 仕事のために支払った費用を記録します。購入した備品、交通費、通信費、勉強のための書籍代などが経費になる可能性があります。経費については、別の記事「ギグワーカーのための経費ガイド」でも詳しく解説しています。
- 証拠書類の保存: 収入があったこと、経費を支払ったことを証明する書類（請求書、領収書、支払明細、銀行の振込記録など）は必ず保管しておきましょう。これらの書類は、税務調査などがあった場合に記帳内容の根拠となります。通常、確定申告の期限から原則7年間（書類の種類によっては5年間）の保存が必要です。
まずは始めてみましょう
記帳は、毎日の積み重ねが大切です。「面倒だな」と感じるかもしれませんが、こまめに記録することで、後からまとめて行うよりもずっと負担が軽くなります。
まずは、今日の収入や支払った経費を記録することから始めてみてください。手書きでも、スマホのメモ機能でも構いません。記録する習慣を身につけることが第一歩です。慣れてきたら、表計算ソフトや会計ソフトの利用も検討してみましょう。
記帳を正しく行うことで、ご自身の所得を正確に把握でき、確定申告もスムーズに進めることができます。税金に関する不安を解消するためにも、ぜひ記帳に取り組んでみてください。
もし、ご自身の取引が経費になるのか判断に迷う場合や、記帳の方法についてさらに詳しい guidance が必要な場合は、税務署の窓口や税理士といった専門家にご相談いただくことをお勧めします。
このサイトでは、これからもギグワーカーの皆さんが税金や確定申告について理解を深められるような情報を発信していきます。ご自身のペースで、一つずつ知識を身につけていきましょう。