【職種別】Webライター・配達員の経費はコレ!確定申告で困らないリスト
ギグワーカーとして働き始め、少しずつ収入が増えてきた方にとって、税金や確定申告は避けて通れない手続きです。特に「経費」については、何をどこまで計上できるのか分からず、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
経費を正しく理解し計上することは、事業の正確な収支を把握し、適切な税金を計算するために非常に重要です。ギグワーカーと一口に言っても、その働き方は様々であり、職種によって必要になる経費の種類も異なります。
この記事では、ギグワーカーの中でも代表的な職種であるWebライターと配達員に焦点を当て、それぞれの仕事で経費として認められる可能性のある項目を具体的にご紹介します。ご自身の仕事内容と照らし合わせながら、ぜひご確認ください。
そもそも「経費」とは何ですか?
確定申告において経費とは、「事業を行う上で、収入を得るために直接的または間接的に必要となった費用」のことを指します。簡単に言えば、仕事をするためにかかったお金のことです。
例えば、Webライターが記事を書くために購入した参考書籍代や、配達員が配達に使う車両のガソリン代などがこれにあたります。これらの経費を収入から差し引くことで、税金の対象となる「所得(もうけ)」が計算されます。所得が少ないほど、税金も少なくなる仕組みです。
ただし、プライベートな支出は経費にできません。仕事とプライベートの両方で使うものについては、事業で使用した割合に応じて費用を分ける「家事按分(かじあんぶん)」という考え方が必要になります。
Webライターの主な経費例
Webライターの仕事は、主にパソコンとインターネット環境があれば成り立ちますが、他にも様々な費用が発生します。
- 通信費: インターネット回線の利用料や、仕事の連絡に使うスマートフォンの通信料などです。自宅で仕事をしている場合、インターネット回線やスマホをプライベートでも使用するため、仕事で使用した割合に応じて家事按分が必要です。
- 家賃・光熱費: 自宅を仕事場として使っている場合、家賃や電気代、ガス代、水道代の一部を経費にできる可能性があります。これも、自宅全体の面積のうち仕事場として使っているスペースの割合や、使用時間など合理的な基準で按分します。
- 消耗品費: パソコン本体やモニター(購入金額によっては後述の減価償却)、キーボード、マウス、プリンター、インク、用紙、ペン、ノートなど、仕事で日常的に使う事務用品や備品です。仕事用のソフトウェアの購入費用も含まれます。
- 図書費・資料費: 記事執筆のための参考書籍や、情報収集のための新聞、専門誌、有料コンテンツの購読料などです。
- 取材費・交通費: 記事の取材のためにかかった交通費や、取材先への謝礼などです。
- セミナー・研修費: Webライターとしてのスキルアップや知識習得のためのセミナー参加費やオンライン講座の受講料などです。
- コワーキングスペース利用料: 自宅以外で仕事をするために利用したコワーキングスペースやカフェでの飲食代(仕事目的の場合)も経費となることがあります。
- クラウドソーシングサイトの手数料: 仕事を受注しているプラットフォームに支払う手数料も経費です。
配達員の主な経費例
配達員の仕事は、車両の利用が中心となるため、車両に関わる費用が大きな割合を占める傾向にあります。
- 車両費: 配達に使用する車両(自転車、バイク、車など)に関わる費用です。
- ガソリン代: 配達のために消費したガソリン代。
- 保険料: 自動車保険やバイク保険のうち、事業用に対応する部分。
- 車検・整備・修理費用: 車両を維持するためにかかった費用。
- 車両購入費(減価償却費): 車両本体の購入費用は、一般的に一度に全額経費にはできず、「減価償却」という手続きによって、使用できる期間(耐用年数)に応じて分割して毎年経費に計上します。
- 駐車場代・駐輪場代: 配達業務中にやむを得ず利用した駐車場代など。自宅の駐車場代は家事按分の対象となることがあります。
- 通信費: 配達アプリの利用や依頼主・購入者との連絡に必要なスマートフォンの通信料です。仕事で使用した割合に応じて家事按分が必要です。
- 被服費: 配達用のユニフォームや、安全のために着用するヘルメット、安全靴など、仕事専用と判断できるものです。普段着としても使えるようなものは経費にできません。
- 保険料: 事業用の任意保険など、仕事に関わる保険料です。
- 梱包材・資材費: 商品を安全に運ぶために必要な梱包材や資材などを自身で購入した場合の費用です。
- アプリの手数料: 利用している配達プラットフォームに支払う手数料も経費です。
共通で経費になりうるもの、経費にならないもの
職種に関わらず、共通して経費にできるものや、逆に経費にできないものもあります。
共通で経費になりうるもの:
- 打ち合わせ費用: 取引先など仕事関係者との打ち合わせのためにかかったカフェ代や飲食代など。ただし、プライベートな飲食との区別を明確にする必要があります。
- 税理士報酬: 確定申告や税務に関する相談を税理士に依頼した場合の報酬です。
経費にならないもの(所得から直接差し引く「所得控除」になるもの):
- 所得税、住民税: 国に納める税金自体は経費になりません。
- 国民健康保険料、国民年金保険料: これらは社会保険料控除として所得から差し引かれます。
経費を証明するために必要なこと
経費として計上するためには、それが事業に関わる支出であることを証明できる書類を保管しておく必要があります。主なものは以下の通りです。
- 領収書: 金額、日付、支払先、内容が記載されたもの。
- レシート: 領収書と同様に利用できます。
- 請求書・支払明細書: クレジットカードの利用明細や銀行の振込明細なども証拠として利用できる場合があります。
これらの書類は、原則として確定申告の期限から7年間(場合によっては5年間)の保管義務があります。
確定申告に向けて、まずは記録から始めましょう
ご紹介したように、ギグワーカーの経費は職種によって多岐にわたります。何が経費になるか分からない、という方も、まずは日々の収入と支出を記録することから始めてみましょう。
どの支出が仕事に関わったものなのかを意識しながら記録していくことで、ご自身の経費が見えてきます。領収書やレシートをなくさないように保管することも大切です。
記録や保管には、ノートや表計算ソフトを使っても良いですし、ギグワーカー向けの会計アプリやクラウドサービスなどを活用するのも効率的です。
経費についてさらに詳しく知りたい場合や、個別の支出が経費になるか判断に迷う場合は、税務署の相談窓口や税理士に確認することをお勧めします。この記事が、皆さんの確定申告の不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。