ギグワーカーのための確定申告期間ガイド ～対象となる収入は「いつからいつまで」？～
ギグワークで収入を得始めた方の多くが、「いつの収入を対象に税金を計算し、申告すれば良いのだろう？」という疑問をお持ちかもしれません。確定申告の準備を始めるにあたり、まず知っておきたいのが、税金計算の対象となる「期間」についてです。
この期間の考え方を正しく理解することは、後々の税金計算や確定申告手続きの土台となります。この記事では、ギグワーカーの方が知っておくべき確定申告の対象期間について、税金知識がゼロからでも分かるように平易な言葉で解説します。
確定申告の対象となる「期間」とは
日本の所得税の確定申告では、税金を計算する対象となる期間が法律で明確に定められています。
その期間とは、「その年の1月1日から12月31日まで」の1年間です。
例えば、2024年分の確定申告をする場合、対象となるのは2024年1月1日から2024年12月31日までの1年間に得た所得です。そして、この期間の所得に対する確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までの間に行うことになります。
つまり、「ある年の1月1日から12月31日までに稼いだ所得」を、「翌年の2月16日から3月15日までの間に申告・納税する」という流れになります。
収入を得た「日」の考え方
「1月1日から12月31日まで」の収入とは、具体的にいつの時点を指すのでしょうか。これは少し専門的な話になりますが、原則として所得税法では、収入や経費は「権利確定主義」に基づいて計算されます。
権利確定主義とは、収入（売上）であれば、役務の提供が完了し、その対価を受け取る権利が確定した時点で計上するという考え方です。実際に現金を受け取った日（現金主義）とは異なる場合があります。
ギグワーカーの場合、具体的には以下のようになります。
- Webライターやデザイナー: 記事の納品やデザインの完成・クライアントの検収が完了し、報酬を受け取る権利が確定した日。請求書を発行した日などが目安になることが多いです。
- 配達員: 配達業務を完了し、報酬を受け取る権利が確定した日。これは配達完了した日と同日であることが一般的です。
ただし、小規模な事業者の場合など、例外的に「現金主義」を選択できるケースもありますが、まずは原則である権利確定主義を理解しておくことが重要です。特別な事情がない限りは、仕事が完了し、報酬を受け取る権利が確定した日をその年の収入として計上すると考えておけば良いでしょう。
対象期間の収入と経費を集計する重要性
確定申告は、「1月1日から12月31日までの1年間の所得」に対して行います。ここで言う「所得」とは、単に収入の合計額を指すのではなく、「収入から必要経費を差し引いた金額」のことです。
所得 ＝ 収入 − 必要経費
したがって、確定申告の準備として最初に行うべきことは、対象期間である1月1日から12月31日までの収入と必要経費を正確に集計することです。
この期間内の収入と経費の記録がなければ、正しい所得を計算することはできません。日々の業務で得た報酬はもちろん、業務に関わる交通費、通信費、消耗品費など、経費になる可能性のある支出も全てこの期間内に発生したものだけを集計します。
税金計算の基礎は「所得」
集計した1年間の収入と経費から「所得」が計算できたら、次に「課税所得」を計算します。課税所得は、所得から「所得控除」と呼ばれる金額を差し引いて計算されます。所得控除には、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など、個々の状況に応じた様々な種類があります。
課税所得 ＝ 所得 − 所得控除
最終的に、この課税所得に税率をかけることで所得税額が決まります。
所得税額 ＝ 課税所得 × 税率
このように、確定申告における税金計算は、すべて「1月1日から12月31日までの1年間」を区切りとして行われます。この基本を理解しておくことが、確定申告の第一歩となります。
まとめ
ギグワーカーとして得た収入に対する確定申告は、「その年の1月1日から12月31日までの収入・経費を対象に、翌年の2月16日から3月15日までに行う」というのが基本的な考え方です。
まずはこの「いつからいつまで」という期間をしっかりと頭に入れてください。そして、この期間内の収入と経費を正確に記録することが、確定申告準備の最も重要なステップとなります。日々の記帳習慣をつけることで、確定申告時期になって慌てることなく、スムーズな手続きが可能になります。
税金に関する不安や疑問がある場合は、お住まいの地域を管轄する税務署や、税理士などの専門家に相談することも検討してみてください。この記事が、あなたの確定申告準備の一助となれば幸いです。