ギグワーカーの経費証明どうする? ~領収書・レシートの保管方法と注意点~
ギグワーカーの経費証明どうする? ~領収書・レシートの保管方法と注意点~
ギグワークを始めたばかりで、「収入から経費を引いて税金を計算する」ことはなんとなく分かってきたけれど、具体的にどうやって経費を証明すれば良いのだろうか、領収書やレシートはどう管理したら良いのだろうか、と悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。
確定申告において、収入から差し引くことができる経費は、事業を行う上でかかった費用です。この経費を正確に計上し、税務署から確認を求められた際に証明するためには、関連する書類を適切に保管しておくことが非常に重要になります。
この記事では、ギグワーカーの方が税金や確定申告で困らないように、経費の証明に使う書類の基本的な保管方法と、保管する上での注意点について、初心者の方にも分かりやすくご説明します。
なぜ領収書・レシートの保管が必要なのか
ギグワーカーとして事業所得を計算する際には、「収入 − 必要経費 = 所得」という計算式が基本となります。この計算で得られた所得に対して税金がかかります。
経費を正確に計算し、必要以上に税金を納めることを避けるためには、事業でかかった費用をもれなく計上することが大切です。そして、計上した経費が本当に事業に関わる費用であったことを示すための証拠となるのが、領収書やレシートなどの書類です。
もし税務署から「この経費は何の費用ですか?」といった質問や、より詳しい調査(税務調査)があった場合、これらの書類を提示して説明する必要があります。書類がないと、経費として認められない可能性も出てきてしまいます。そのため、事業に関わる支出の証拠となる書類は、きちんと保管しておく必要があるのです。
保管すべき書類の種類
経費の証明となるのは、領収書やレシートだけではありません。事業に関わる様々な取引を証明する書類も保管しておきましょう。主なものは以下の通りです。
- 領収書・レシート: 物品購入費、交通費、会食費など、様々な支出の証明となります。
- 請求書: サービス利用料や仕入れ代金など、受け取った請求書も保管します。
- 契約書: 業務委託契約書やオフィス賃貸契約書など、事業に関する重要な契約を証明します。
- 銀行の通帳や取引明細: 収入や大きな支出の記録となります。事業用の口座を分けていると管理しやすいでしょう。
- クレジットカードの利用明細: 事業で利用したクレジットカードの明細も経費の証拠となり得ます。
これらの書類は、確定申告の際に記帳をする上でも役立ちますし、後から見返して経営状況を把握するのにも役立ちます。
領収書・レシートの保管方法
具体的な領収書・レシートの保管方法には、主に物理的に紙のまま保管する方法と、電子的にデータとして保管する方法があります。ご自身のやりやすい方法や、書類の量に応じて選びましょう。
物理的な保管方法
紙の領収書やレシートをそのまま保管する方法です。特別な機器が必要ないため、すぐに始められます。
- 封筒や袋に入れる: 一時的な保管場所として、日ごとや週ごとにまとめて封筒に入れる方法です。後で整理することを前提としましょう。
- ファイルに貼る、挟む: ノートやルーズリーフ、クリアファイルなどに日付順や種類別に整理して保管します。後から見返す際に探しやすくなります。
- ボックスや引き出しにまとめる: 月ごとや年ごとにまとめて箱に入れる方法です。量が多い場合に便利ですが、箱の中での整理は別途必要です。
電子的な保管方法(電子帳簿保存法)
領収書やレシートをスキャンしたり写真に撮ったりして、データとして保存する方法です。
- スキャナーやスマートフォンで読み取る: 書類を画像データとして保存します。
- 会計ソフトやクラウドサービスの活用: 会計ソフトの中には、領収書の画像をデータと紐づけて管理できる機能を持つものがあります。また、電子帳簿保存法に対応したクラウドストレージサービスなども利用できます。
電子的に保存する場合には、税法で定められた要件(真実性の確保、可視性の確保など)を満たす必要があります。これには、タイムスタンプの付与や、改変できないシステムでの管理などが含まれます。個人事業主の場合、必ずしもすべての書類を電子保存する義務はありませんし、要件を満たすための対応が必要になるため、最初は物理的な保管から始めて、慣れてきたら電子化を検討するのも良いでしょう。
保管・整理のコツ
- 「いつ」「何の」経費か分かるようにしておく: 日付や内容をすぐに確認できるように整理します。例えば、日付順に並べたり、交通費、消耗品費、通信費などの勘定科目別に分けたりする方法があります。
- 定期的に整理する: 毎日、週ごと、あるいは月に一度など、定期的にまとめて整理する習慣をつけると、書類が溜まりすぎるのを防げます。
- 事業用とプライベート用を分ける: プライベートな支出のレシートと混ざらないように、最初から分けて保管するようにしましょう。
保管期間
税法では、帳簿や書類の保存期間が定められています。個人事業主の場合、原則として確定申告の提出期限の翌日から7年間保管する必要があります。
これは、税務署が過去の取引について調査を行う可能性があるためです。万が一に備え、定められた期間は大切に保管しておきましょう。
保管時の注意点
書類を保管する際には、いくつか注意しておきたい点があります。
- 記載内容の確認: 領収書やレシートを受け取った際に、日付、金額、支払先の名称などが正しく記載されているか確認しましょう。可能であれば、何の費用だったか(例: 打ち合わせの飲食代、〇〇の書籍購入費など)をレシートの余白にメモしておくと、後から見返した際に分かりやすくなります。
- 感熱紙の劣化: レシートによく使われている感熱紙は、時間が経つと印字が消えてしまうことがあります。重要なレシートは、コピーを取っておいたり、すぐにスキャンしたりする対策を検討しても良いでしょう。
- 紛失に注意: 大切な書類ですので、紛失しないように注意が必要です。まとめて保管する場所を決めておき、安易に持ち運ばないようにしましょう。
まとめ
ギグワーカーとして活動していく上で、経費の正確な計上と、それを証明する書類の保管は避けて通れないステップです。特に確定申告を行う際には、これらの書類が大きな助けとなります。
最初は何から手をつければ良いか難しく感じるかもしれませんが、まずは事業でかかった支出の領収書やレシートを一つずつ集めて、分かりやすいように日付順に並べてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
慣れてきたら、ファイルにまとめたり、会計ソフトの活用を検討したりと、ご自身に合った効率的な方法を見つけていくことができるでしょう。
経費の保管方法についてご不明な点がある場合や、個別の状況について知りたい場合は、税務署に相談したり、税理士などの専門家にご相談されることをお勧めします。この記事が、皆さんの経費管理の一助となれば幸いです。